宇宙を翔ける若者たち 第2部 惑星移住 第24章 研究者の苦悩



第2部 惑星移住

第24章 研究者の苦悩

それを聞いた教授は「今、君は理論を構築している様ですと言ったではないか!」語気を強めて言った。
情報局員は「それは、アスカ国のエーゼントがタカミ教授の研究室事務員と接触し、聞き出した情報を送ってきた訳です。けれど、彼は酔っている様子で紐理論やM理論とは違うモデルの理論は判ったが、その他の文章は読みにくいので構築していると推論した訳です。」情報提供しているのに、教授の叱責気味の声に腹立しくなって彼も大きい声となった。
教授は自分のふがいなさと行き場のない怒りを誰にも向けられない為に「どこもかしこも上手く言ってない。えーくそ!」と言って、両手の握りこぶしで机を叩いた。
情報局員は「成功しない研究所には予算カットの対象とされますよ。それに貴方が成功したらは推薦した私も良いポストに移動出来るし、研究が他国より先に成功して特許権取得すると、膨大な金額がわが国に転がり込むのです。ウエストロック教授、必ず研究を成功してください」平静さ装って言った。
予算カットと聞き、教授は冷静さを取り戻して情報局員に「コーデナル大学チームやアスカ国のチームには負けない。私が一番出来ることを証明できるのだ。」必ず一番乗りで成功すると宣言した。
情報局員は「わかりました。期待しています。」と言って部屋を出た。
情報局員が帰ってから5時間後、ウエストロックは研究が進まない為に、定時にポール達の研究員には来宅するよう指示を出して、研究所を後にした。
道路からガレージに大型セダンを入れたウエストロックは、車から降りてから車庫に出た。まだ辺りは明るい時間に帰るのは久しぶりであった。
玄関に入ってリビングテーブルにメール便や郵便物が数通置かれていたので、その束を持ってキッチンに向いて右手奥のリビングの椅子にドッカリ座った。
左手に持った郵便物などを扇状に開いて発送元を見ていたら、4枚目の封書にはマゴクのツウビ裁判所からの鉄道事故の賠償に関する通知書在中と書かれていたので、左手で他の郵便物はテーブルを置いた。椅子から立ち上がって書斎まで行き、封書の端を鋏で切って通知書を取り出した。
広げた通知書には、ジョコ鉄道追突事故の犠牲者への賠償金通知書と書かれていた。発生日時は3648年3月24日。発生場所はウンケイ自治区。負傷者数は99名、死亡者数30名の内訳はアスカ国籍26名・マゴク国籍2名・アメカ国籍(アメカ系は1名、アスカ系は1名)2名。発生原因はポイント切り替えミスと後続列車の運転手の信号見落としミスによる衝突事故である。賠償金は340万ガン。と記されていた。付記には、アスカ国の犠牲者遺族へは1人当たり130万ガン示談成立日は3658年9月26日。
少ない金額にウエストロックは「なんだ!この金額は、賠償金額としては普通の保険会社の3分の1しかない。ばかにしている。」いらだちながら大きな声となった。
妻は浴室の掃除を終え、ドアを開けてリビングに入ると「あなた、お帰りなさい。さっきから何に怒っているの?」とウエストロックに尋ねた。

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